飛行機って、速すぎるんじゃないか問題
時間というのは不思議なものです。
ぼくは香川からの移動に飛行機をよく使うのですが、たまに高松空港から成田空港に着く便に乗ることがあります。そうすると、高松空港から成田空港までがだいたい1時間〜1時間半くらい。で。その後、成田空港から東京都心まで出てくるのにも1時間くらいかかることもあります。
そうすると、アレ? 距離と時間の関係おかしくない? となるわけです。ええ。乗り物自体のスピードを考えれば、全くおかしくないんですけれど。
だから常々「やっぱり飛行機って速いんだなあ」と小学生のような感想を持っています(笑)。
では、飛行機がすごくて電車やバスはダメなのか? スピードが速いことが絶対的な善なのか? といえば、そんなことはありません。飛行機には飛行機でしか行けない場所があるし、電車やバスを使わないと到達できない場所もある。成田空港から東京まで、飛行機で行くことは出来ないように、です。
ぼくたちはついつい「スピードが速い方がいい」と思いがちですよね。
うん。そっちの「SPEED」ではなくてですね。
でも、それは本当にそうなのか? と時々考えるわけです。
例えば、目的地に速く到達したいと思う。もちろん、ぼくも人間ですから、一刻も早く到着したいと思います。
でも、高松空港から直接東京都心まで、飛行機で乗り付けることは出来ないわけです。いや、人によっちゃプライベートヘリで東京都心のヘリポートに直で到着・・・という人もいるかもしれませんが、ぼくの周りにはそんなハリウッドセレブみたいな人、あるいは高須クリニックの高須院長みたいな人はいないみたいです。知らんけど。
上手くなればなるほど、成長が感じられなくなる
これは、物事の習熟度にも似ているように感じます。
なにか新しいことを始めた時、今までやっていなかったことをやるわけで、急激に上達する(あるいは、そのように感じる)。でも、ある程度のレベルになってくると、なかなか自分の上達を感じることが出来なくなってくる。
スポーツでも楽器でもそうじゃないですか。始めたての頃はボールが打てるようになったことが嬉しかったり、ちゃんと音が出ることが既に喜びだったりする。でも、習熟度が上がってくると、ちょっと練習をしたくらいでは、そうそう目に見えて上達が感じられないこともある。
「こんなに練習してるのに、あんまり上達していない」と感じることも増えてくる。
これは、最初は飛行機でびゅーんと目的地の近くまで飛んでいけるけれど、そこから先は電車やバス、あるいは徒歩で地道に近付いていかなくてはいけないのと、なんとなく似ている気がするのです。
だから、必ずしも目的地へ到達することが「速い」ことだけが良いこと、でもないのかもしれない、とすら思うのです。繰り返し繰り返し努力して、必要な鍛錬を積み重ねて、自分の目的地へたどり着く。この「繰り返し」や「鍛錬」こそが、自分を磨いてくれるのかもしれないと思うのです。
目的地になかなかたどり着けない側のぼくたちへ
タイプもあるかもしれません。目標を立て、そこに向かってスタートしてすぐにパンパカパーンと達成できる人と、なかなか達成できない人とがいる。
自慢ではないですが、ぼくはなかなか達成できない側の人です。
「この夏までにダイエット!」と思っているのに、晩ごはんの唐揚げが美味しすぎてご飯を3杯食べてしまったり、何を思ったか「やよい軒」でしょうが焼きを注文し、しょうが焼きだけでごはん3杯おかわりした後に、付いてきたマヨネーズだけでごはん1杯平らげたりしてしまうわけです。そりゃー、ダイエットなんて夢のまた夢でしょう(一部フィクションを含みますが、ほぼノンフィクション)。
それはさておき。
目標をすぐに達成できる人は幸せです。次の目標にすぐ切り替えて走り出せるわけですから。
でも一方で、なかなか達成できない人も幸せなのです。なぜなら、達成までの過程をじっくりと味わっているからです。
目標を立てて、パッと達成できる人は、もちろん人にもよりますが、「どうしたらそうなるか」を説明できない人が多いように感じます。私はこういう人を「ミスタータイプ」と呼んでいます。
「ビューっとボールが来るから、グッと踏み込んで、パーンと打ち返したら、スタンドインですよ」
という説明で「そうか!」と目標達成できる人は、もう完全なミスタータイプなわけです。
あ、まさかとは思いますが「ミスター」とは「ミスターどうでしょう」こと鈴井貴之さんではなく、ミスタージャイアンツの長嶋茂雄さんのことですね。
↑↑こちらは『水曜どうでしょう コンプリート 全集 Vol.1~6 DVD- BOX 第1-30弾 59枚組』です。
でも、その説明で「そうか!」と分かる人ばかりではありません。
なかなか達成できない側の人は、色々迷走します。瞑想もするかもしれませんが、その話はこっちに置いておきます。
「どうしてうまくいかないんだろう?」と考えたり、悩んだり、試行錯誤したり、呉越同舟したり、五十歩百歩したりします。ええ、途中から関係なくなっちゃってますけど。
で、回り道もするし、失敗を繰り返したりもします。そこであきらめてしまったら、その試行錯誤は無駄になるかもしれませんが、そのプロセスを経て成功出来たとしたら、それは大きな財産になります。だって「こうしたらうまくいかない」を知っているから。
そう考えると、目的地に飛行機で一目散に到着することももちろん良いのですが、ああでもないこうでもないと失敗も積み重ねながら、路線バスか何かを乗り継ぎながら到達することも、味わい深いと言えるのではないかと思うのです。
紆余曲折するからこそ、見えるものもある
そうは言っても、振り返ってそう言えるのは「目的地に到着することが出来た」から。何としてでも目的地までたどり着く意志と根性、それから継続力は必要なのかもしれない・・・と思っています。
そんな紆余曲折を経てでも目的地にたどり着いたとしたら、そのプロセスを人に説明することもできるでしょう。「こうしたらうまくいかないよ」という経験も込みで。
だからもし、あなたが「なかなか目的地にたどり着けない」と悩んでいるとしたら、同じように紆余曲折を経た人に話を聞いてみるのもいいかもしれません。自分だけでは気付かなかった落とし穴や、目的地にたどり着けるルートを教えてもらえるかもしれない。
そして「あ、自分はいま経験を積んでいるのだな」と思ってみてはいかがでしょう。その経験が、きっと後から同じようにやってくる人たちの助けになるはずです。
────────────────────────────────────────────
ぼくが「フリーランスになろう!」と思ったきっかけになったのは、『楽読』という速読スクールに通い始め、フリーランスで働く人たちとの接点が増えたことでした。
その『楽読』創業者の平井ナナエさんが、書籍を出版されました。タイトルは『あなたの起業が人生と世界を変える』。
ぼくも少しだけ、編集協力として参加させていただいております。
フリーランスで働きたい、起業したい! という方にはドンピシャな内容になっています。世の中によくある「起業本」とは一線を画しているかもしれませんが、読んで損はないです(断言)。
さらに。「起業したいけれど、周囲から反対されている」、「家族の理解が得られない」と感じておられる方は、ぜひ、講演会で平井ナナエさんに会ってみてほしいです。
三人の娘を連れて離婚。シングルマザーとして生きることを決意して、実際に三人の娘を女手一つで育て上げ、なおかつ自ら創業した『楽読』は今や日本全国に90スクール近く展開。母親と事業家の両面で活躍されてきた女性のお話。ぜひ聞いてみてほしいです。